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褒める効果とは?自分を褒めるのもあり?心理学の研究データから解説

皆さんは職場において、どのようなシーンで人を褒めていますか?

上司がやる気を出すために部下をねぎらいの言葉をかける、職場で良好な人間関係を築くためにお互いの良い点を言い合う、などビジネスでは至る所に他人を「褒める」という行為が使われています。

「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば人は動かじ。」

社内教育や社員のモチベーション管理などにしばしば引用される山本五十六の格言でも「褒める」という言葉が登場します。


それでは一体「褒める」ということにはどのような効果があるのでしょうか?

個人差はあるもの、人は褒められることに快感を覚えます。

褒められたいから「辛いことや苦しいことがあっても頑張る」「他人より早く新しい物事を習得するため努力する」のようなことはよくあると思います。

ともすれば万能薬のように思える「褒める」という行為ですが、一歩間違えばパフォーマンスの低下、学習の阻害を引き起こしてしまうこともあります。


今回は、扱い方が難しいが人間関係の潤滑油にもなりえる「褒める」ことの効果について心理学の見地から解説していきたいと思います。


【他人を褒める効果】

①動機付け・衛生要因理論

仕事上で部下や同僚にやる気を出させる方法としては、褒めるほかにも職場環境の改善や物理的・金銭的なインセンティブを与えるなど様々な手段があります。

たしかに、褒められるよりは仕事に見合ったポストや報酬を貰える方が良いと考える人もいるでしょう。

しかし、金銭的物理的なインセンティブを与えるという手段は、社員の不満を取り除く効果はあるもののそれ以上にやる気を出させる効果は乏しく、逆に「褒める」「仕事ぶりを認める(評価する)」といった行為はモチベーションとなり、「もっと頑張ろう」という意欲につながるものとされています。心理学的ではこれを「動機付け要因」と呼びます。

(物理的インセンティブは衛生要因と呼ばれています。)


環境面の整備もさることながら、上司部下にかぎらずお互いが承認しあい「褒めあう」ことで、能力を発揮しやすい職場づくりにつながるのではないでしょうか。



②教師期待効果(ピグマリオン効果)

教師が児童・生徒に期待をかけて接すると、そうでない接し方をするよりも児童・生徒の成績が向上するという研究データがあります。これを教師期待効果といい、ビジネスの場においてもよく使われています。

上司が部下に対して期待をかけて接することで部下の能力やパフォーマンスが向上するというものですが、期待していることを具体的に表現するためには言葉に出して「褒める」ことも大切です。

逆に、期待されていないと感じるとパフォーマンスが下がってしまうことも実証されているので、他人を注意する場合には「頻度」「言葉選び」に気を付けなければなりません。


部下や同僚の仕事を常に気にかけ叱咤激励しながら、時には褒めてあげる事が、能力を発揮しやすい環境づくりに繋がるのではないでしょうか。


③アンダーマイニング効果・エンハンシング効果

親の喜ぶ顔を見たくて自主的に庭の掃除をしていた子供たちに、ある時から報酬としてお小遣いをあげると、その目的が変わってしまい、お小遣いをもらえなければ掃除をしないようになった、という話があります。

これはアンダーマイニング効果と言って、他の動機を与えることで自発的な動機が失われるというものです。

これは仕事上においても同様で、自発的に目標を設定して取り組んでいる社員も、他から二次的に与えられた目的(インセンティブなど)があれば自発的な動機が失われていくとされています。

しかし、二次的に与えられた目的が目標に対する行動を加速させるというプラスの側面も確かにありますこれをエンハンシング効果と言い、特に「褒める」「表彰する」といった行為に対して効果が実証されています。


ビジネスの場では、自発的な目標設定プラス「褒める」という行為をうまく活用して社員のやる気アップにつなげると良いのではないでしょうか?


【自分を褒める効果】

①自己肯定感

自分への評価が低ければ自分の仕事に対して満足感が得られず、「他者の(社会的)評価」「他者との比較」のみが仕事の指標となり、ついつい他人に対して攻撃的になってしまうこともあります。これを自己肯定感が低い状態と言います。

しかし自己肯定感が高いか低いかというものは自分で把握することは難しいことです。

実は「自分は仕事が出来る」と思うことが自己肯定感を高いということではありません。むしろ仕事が出来ると思っている人でも目標やライバルの影におびえ、他者を攻撃しながら自我を保っている人も大勢います。


では、どうすれば自己肯定感が高まるのでしょうか?

色々な方法があると思いますが、「自分を客観的に把握する」という方法が効果的です。「客観的に」といっても売上高や達成率などの数字で評価するのではなく、自分の良い点を把握し、より良くするためにはどのようなところを改善していけばよいのかを考える事です。


②「自分を褒める」

自分の良い点を把握するためにはまず「自分を褒めてみる」ことをお薦めします。

といってもトータルで「自分は良い社員だ。仕事も出来る。」と褒めるのではなく、一つ一つのプロセス(行動)に対して、プラス評価できる項目を出来るだけ挙げていくという手法です。

こうすることで、自分の行動を細かく振り返る事が出来、成功体験を得られた場合はその再現性も高まります。


【褒めることへの注意】


褒めることは様々なプラスの効果を持っていますが、マイナスの一面もあります。

アドラー心理学では「褒める」ことは依存に繋がると徹底的に批判されています。確かに褒める事を一種の「報酬」であるととらえると、報酬を与えることで自発的な動機が失われてしまうことは前日のアンダーマイニング効果でも実証されています。


依存に繋がらないように褒めるには、効果的なシーンと方法があります。


一つ目は、成果だけではなく行動そのものを評価し、「褒める」ことです。

ビジネスでは成果に対して評価することはとても重要ですが、プロセスを観察して評価してあげる事で行動を繰り返そうとする意欲が生じます。


二つ目は、「褒める」頻度を考える事です。

行動そのものを褒めるといっても毎日毎日同じことを褒めていては褒められる方も慣れてしまい、ありがたみがなくなってしまいます。

効果的に褒める為には、他の叱咤激励も含めながら、社員を正当に客観的に評価することが重要です。


【まとめ】


「褒める」とは人間関係を形成する上で、仕事上ではパフォーマンスを上げるためには重要な要素であり、同時に難しい側面もあるということをご理解いただけたかと思います。


冒頭で述べた山本五十六の格言ですが、実は下記のように続きます。

「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば人は育たず。

やっている姿を感謝で見守って、信頼せねば人は実らず。」


部下や同僚の行動を仕事上で単純に褒めるだけではなく、双方向のコミュニケーションを持ち、人間として承認し、お互いに感謝しあう構築こそが人間関係の本質であり、

「褒める」効果も最大限になるのではないか、と私は考えています。



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