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男性の育休取得と海外のパパ・クオータ制について

日本では、1991年に育児休業法が制定されてから、ジェンダーを問わず「原則1年の育児休業取得」が認められていますが、これは国際的に見ても先進的な制度だと言えます。


2021年6月にユニセフが発表した経済協力開発機構(OECD)及び欧州連合(EU)加盟国を対象とした調査、「先進国の子育て支援の現状(Where Do Rich Countries Stand on Childcare?)」によれば、日本は育児休業制度で1位にランク付けされました。特に、父親に認められている育児休業の期間が最も長いことが評価されています。


しかし、厚生労働省の「令和3年度雇用均等基本調査」によれば、日本の男性の育児休業取得率は13.97%に留まっており、せっかくの先進的な制度が十分に活用されていないことがわかります。


一方、日本と比べて「男女が共同で子育てに取り組んでいる」イメージが強い北欧諸国。

ノルウェーやスウェーデンなどでは男性の育児休業取得率は、8割以上に上ると言われています。


両者との違いはいったい何なのでしょうか?また、日本社会が男性育休の普及に向けて、これからどのような取り組みをすべきなのでしょうか?


具体的な例を挙げて考察したいと思います。



日本の制度と取得率のギャップ


日本は、父親と母親がほぼ同じ期間の育児休業を取得できる制度を有しており、国際的にも一定の評価を受けています。一方、男性の取得率は依然として低く、職場文化や社会的認識が制度とギャップがあることを示しています。


日本の社会では、「男性が外で仕事をして収入を得て、女性は家庭内で家事や育児などを担う」という伝統的な認識が未だ強く、男性の育児休業取得のハードルになっていることも考えられます。



北欧のパパ・クオータ制


では、北欧諸国ではなぜ男性の育児休業の取得率が高いのでしょうか?


それは、一定期間の育児休業は父親専用に確保される「パパ・クオータ制」の導入が大きく影響していると考えられます。


<ノルウェーの例>

パパ・クオータ制とは「父親割り当て制度」とも呼ばれており、育児休業の一定期間を父親に割り当てるものです。ノルウェーでは、諸国に先駆けて1993年にこの制度を導入しました。


父親に割り当てられた4週間(その後6週間)の育児休業期間を取得しなければ、育児休業の権利が消滅してしまうため、男性の育児休業取得促進に繋がり、現在の育児休業取得率は8割を超えると言われています。



<スウェーデンの例>

スウェーデンでは、父親と母親にそれぞれ240日ずつ、合わせて480日間の両親手当受給権(育児休業)がありますが、そのうち90日は「パパの月」「ママの月」と呼ばれ、相手に変わって取得することができません。(パパ・ママ・クオータ制)


割当分を取得しなければ権利は消滅するため、男性の育児休業取得率は高く、9割を超えると言われています。



日本の現状と今後の取り組み


日本には、男性が育児休業を取得できる制度は整っているものの、実際の取得にはなかなかつながっていません。しかし、男女共同参画基本法第3条で定められている「男女が個人として能力を発揮する機会の確保」を達成するためには、個人、企業、社会がそれぞれ課題を認知し、男性育休取得率向上に向けた取り組みを行なっていかなければなりません。


日本の現状


日本で男性の育児休業取得が進まない理由の1つは、北欧のように具体的な数値目標が設定されていないことが挙げられます。男性が育児休業を取得しなくても、女性の育児休業取得の妨げにはならず、権利が消滅することはありません。


2010年に制定された育児休業の特例「パパママ育休プラス」では、両親がともに育児休業を取得する場合、通常1年の育児休業期間が、子どもが1歳2ヶ月に達するまで最大2ヶ月間延長され、そのうち2ヶ月はパパ(もしくはママ)に割り当てられたプラス分となります。しかし、北欧のパパ・クオータ制のように、取得しなければ権利が消滅するものではないため、取得率向上に圧倒的な影響を与えているとは言い難い状況です。


今後の取り組み


日本が今後、男性の育児休業取得率を伸ばすには、国が定める制度上の取り組みだけではなく、企業単位での取り組み、および周囲の理解と協力が必要です。


企業ができることは、社内キャンペーンや、スムーズに職場復帰できるプログラムの構築です。経営層や管理者層が声を出して育児休業取得を推奨し、休業明けも同じ職場、職務内容に従事できるように、社内制度上の配慮が必要です。


また、周囲の個人が育児休業取得に対して理解し、寛容な心を持つことも重要です。

「俺の時は誰も育休なんか取らなかった」や「この忙しい時に育休を取るなんて、、、」などネガティブな目で見るのではなく、育児休業を取得することで家庭内の不安や憂いが解消され、プライベートが充実し「個人のパフォーマンスの向上」「組織としての生産性向上」につながることを意識できれば、男性が育児休業を取得しやすい環境を作ることができるでしょう。



参照:

厚生労働省「育児・介護休業法について」

男女共同参画局「我が国の育児休業制度は世界一!?男性の育児休業の変遷と背景」

厚生労働省「パパ・ママ育休プラス」


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